遺言書Q&A
Q1 公証役場に公正証書遺言作成の相談に行ったのですが、自分が思ったとおりの文章にはしてもらえないようで少しがっかりしました。仕方がないのでしょうか。
A1
遺言書に記載する事項には、法的効力のある法定遺言事項とそうでない事項があります。法定遺言事項は遺言書本文に記載されますが、そうでない事項は末尾の付言事項に書くことができます。
法定遺言事項であっても、公証人によって、法的見解や文章表現を始めとする様々な面で多少なりとも違いがあるのは確かです。
弊所では、時には公証人と何度も議論を重ねて文案を擦り合わせ、遺言者のお気持ちに一番近い遺言書を作成できるようお力添えさせていただいています。ぜひお気軽にお問合せください。
Q2「遺留分減殺請求をしてはならない」と遺言書に記載してもよいのでしょうか。
A2
「遺留分減殺請求をしてはならない」と遺言書に記載しても、残念ながら法的拘束力はありません。しかし、遺留分権利者にとっては、「お母さん(遺言者)がそう言うなら請求は控えよう」という心理的な抑止力として働く場合があるので、書いておいた方がよいと思います。
公正証書遺言の場合、多くは付言事項に記載されることが多いのですが、「遺留分減殺請求をしないことを求める」という表現であれば遺言書本文に記載してくれる公証役場もあります。
Q3 自分が亡くなった後、「障がいのある子を扶養してくれる人」や、「ペットの飼育をしてくれる人」に財産を遺すことはできますか。
A3
はい、できます。遺言書を利用するのであれば、「負担付き相続」「負担付き遺贈」という方法があります。たとえば、「A子が死亡するまで同居し、同人の生活費として毎月〇〇円を負担するなどして扶養すること」や「飼い犬Bが死亡するまで飼育し、死後は△△寺で永代供養してもらうこと」を条件に付けて、財産を相続させたり遺贈したりするのです。
そのほか、民事信託契約を利用して、被扶養者やペットを受益者、面倒をみてくれる人を受託者に指定し、余った財産をその受託者に帰属させるということもできます。
Q4 私の死後は、自宅不動産を売却して、その売却代金を相続人全員で分けてもらいたいのですが、そのようことはできますか。
A4
はい、できます。遺言者が亡くなった後に、特定の不動産を売却し、その売却代金から売却に要した費用(仲介手数料、測量費用、登記費用等)を差し引いた残金をC子とD男で2分の1ずつ分けて取得させる、という内容の遺言をすることも可能です。
先祖代々の家屋敷を売却することに躊躇する子どもと、「誰も住まないのだから早く売ってしまおう」と考える子どもがいて、揉めるケースは結構あります。
そのようなことにならないよう、「自分の死後は自宅不動産を売ってもよい」と考えている場合には、遺言書でそのことを明確にしておくことがお勧めです。
Q5 妻に全財産を相続させたいのですが、私よりも妻が先に亡くなった場合にはどうしたらよいでしょうか。
A5
その場合には、相続すべき者に順位をつけて遺言書を作成することができます。
たとえば、第1条には、妻に全財産を相続させると記載し、第2条には、自分よりも先に妻が亡くなった場合(同時死亡も含む)には長男に全財産を相続させると記載すればよいのです。